小児外科疾患に対する生体内組織形成術(in-body tissue architecture)を用いた臓器再生の研究
研究紹介
小児外科疾患に対する生体内組織形成術(in-body tissue architecture)を用いた臓器再生の開発
生体内組織形成術(in-body tissue architecture, IBTA)は生体内で異物が線維性組織によって被包化される現象を利用して再生医療に用いる足場組織を形成する技術です。この技術により様々な形状の線維性結合組織を作成することができ、その形状によってバイオチューブ、バイオシート、バイオバルブなどと呼ばれています(図1)。この生体由来組織を組織修復材として移植すると移植した臓器の組織が自律再生することがわかっており、既に血管や心臓弁、角膜、気管などで外・内・中胚葉組織の再生が証明されています。
私たちは生体内組織形成術を応用し、小児先天性疾患や難治性疾患の治療に対して臓器再生による新たな治療法の開発を研究しています。これまでに家兎を用いてバイオシートを横隔膜欠損孔に移植し、横隔膜の筋組織が自律再生することを世界で初めて証明しました。将来的には先天性横隔膜ヘルニアの治療へ応用することを目指しています。そのほか、当研究室ではバイオチューブを用いたlong gap型の先天性食道閉鎖症に対する食道再生、短腸症候群に対する小腸再生の開発を研究しています。さらに何故このような組織の自律再生が起きるのかはわかっておらず、その再生メカニズムの解析を進めています。
図1 バイオチューブ・バイオシートの作成
図2 バイオシートを用いた横隔膜再生
業績
- Suzuki K, Komura M, Terawaki K, Kodaka T, Gohara T, Komura H, Nakayama Y. Engineering and repair of diaphragm using biosheet, a collagenous connective tissue membrane, in rabbit.
J Pediatr Surg. 53:330-4,2018 - Satake R, Komura M, Komura H, Kodaka T, Terawaki K, Ikebukuro K, Komuro H, Yonekawa H, Hoshi K, Takato T, Nakayama Y. Patch tracheoplasty in body tissue engineering using collagenous connective tissue membranes (biosheets).
J Pediatr Surg. 51:244-8, 2016
学会発表
- K Suzuki, M Komura, K Terawaki, T Kodaka, T Gohara, H Komura, Y Nakayama
Evaluation of diaphrgmatic engineering using biosheet, a collagenous connective tissue membrane, to repair congenital diaphragmatic hernia in rabbit
BAPS 65th Annual International Congress, 2017, London - K Suzuki, M Komura, K Terawaki, T Kodaka, T Gouhara, H Komura, Y Nakayama
Repair and regeneration of diaphragm using biosheets for congenital diaphragmatic hernia in a rabbit model
The 49th Annual Meeting of the PAPS, 2016, Hawaii