小児難治性疾患に対するリアルタイム診断・治療の開発
研究紹介
小児難治性疾患に対するリアルタイム診断・治療の開発
近赤外線光を用いた光線力学診断・治療(photo theranostics)は既に幾つかの癌で保険適応されており臨床で使われております。近年ではICGなどを用いて術中リアルタイムに所属リンパ節やリンパ管を診断する機会が急速に増えてきています。
我々は様々な難治性小児がんおよび難治性のリンパ管疾患に対して近赤外線光を用いて術中リアルタイムに診断・治療する方法に関して研究を行っております。
これまで特定困難であった微小病変を可視化できること、同時に正常組織にダメージを与えることなく病変特異的に治療ができるという点で、治療成績の向上が期待できます。
リンパ管腫由来リンパ管内皮細胞を利用した原因検索および新規治療法の開発
リンパ管腫は細胞生物学的には良性とされますが、臨床的には「悪性」の経過をたどります。現行の治療法は無効なことが多く、有効性の高い治療法は確立されていません。世界的にみてもリンパ管腫の基礎的な研究はわずかしかなく、病因や細胞生物学的な特徴は明らかにされていないのが現状です。共同研究者である藤野はヒトリンパ管腫由来リンパ管内皮細胞(以下HL-LEC)の培養系を世界に先駆けて樹立し、さらにHL-LECの解析を行い、HL-LEC自体が嚢胞を形成する異常な性質を有する事を明らかにし、in vivoのモデルを確立させております。我々はこれらの材料をもとに、in vitroでの薬物スクリーニング・遺伝子スクリーニングの系を確立させております。
治療手段のない難治性のリンパ管腫の患者にとって原因検索の手段および新規の有効性の高い治療法を開発する手段は確立しているため、今後の治療法の開発に対して発展が期待できます。